終活ガイド初級

更新日:

第2章 年金・保険

公的年金

一般に日本の年金給付の財源は、現役世代および後世代の保険料の負担によって支えられる制度になっており、また急激な保険料の増大を緩和するために、年金原資の積み立てが行われ、運用が行われていますが、現状の未納や未加入の増加を放置すると、老齢年金の制度維持自体が危ぶまれることも考えられます。

これに対して、現在の高齢者世帯においては、老齢年金が生活費に占める割合は大きなものとなっており、また現役世代の将来(老後)の生活設計においても大きな事となっているのは紛れもない事実です。

そのため、老齢年金については、誰もが無関心でいるわけにはいきません。

国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡により「基礎年金」を受けることができます。

国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」と3種類があります。

「遺族年金」

被保険者が死亡した際、残された遺族に対して支給される公的な年金

「障害年金」

病気やケガで生活や仕事などが制限される場合、受け取ることができる公的な年金

「老齢年金」

高齢になった時に受け取れる 公的な年金

「その他の給付」

付加年金、寡婦年金、死亡一時金、短期在留外国人の脱退一時金、脱退手当金など

※老齢年金の平均支給額は、国民年金の平均月額は5万5千円、厚生年金は14万7千円支給

※上記は、保険料を納めている方が受給できる制度です(納めていない方は給付を受ける事はできません)

 

公的保険

「公的保険種類」 

  • 国民健康保険
  • 長寿医療保険(後期高齢者医療制度)
  • 共済保険
  • 介護保険
  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 失業保険 他

「健康保険の自己負担」

  1. 70歳未満は3割
  2. 70~74歳は2割(現役並み所得者3割)
  3. 75歳以上は1割(現役並み所得者3割)

「高額療養費とは」 同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。 医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を提示する方法があります。

≪高額療養費も以下、3区分に分かれています≫

①「70歳未満の方の区分」

例)標準報酬月額28万円~50万円の方(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)

自己負担金上限の計算=80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% (多数該当:44,400円)

②「70歳以上75歳未満の方の区分」

例)一般所得者:外来(個人ごと)18,000円(年間上限14.4万円)/外来・入院(世帯)57,600円(多数該当:44,400円)

③「後期高齢者75歳以上もしくは認定を受けた65歳以上の方」

※制度変更がありますので、詳細はご確認ください。

 

民間保険

人間の生存または死亡による損失を保障することを目的とする保険。

生命保険会社では、他にも貯蓄や老後の保障といった幅広いニーズに対応するため、「財形貯蓄積立保険」や「個人年金保険」などの商品を取り扱っているが、これらも広い意味で保険と言います。

「民間保険種類」

  • 死亡保険=人間の生存または死亡による損失を保障することを目的とする保険
  • 医療保険=医療機関の受診により発生した医療費について、一部又は全部の給付を受ける保険
  • 疾病保険=生活習慣病(ガンなど)の特定疾病になった場合に給付される保険
  • 傷害保険=外部の原因によって肉体に傷害を受けた時、一定金額がもらえる
  • 介護保険=介護が必要になった場合に備え、公的な年金に加えて自分で準備しておく保険
  • 生存保険=被保険者が満期まで生存していた場合、決められていた保険金が支払われる保険
  • 学資保険=子どもの教育資金の確保を目的とした保険
  • こども保険=子どもの教育資金積立てや、子どものケガや病気を保障する保険
  • 個人年金保険=老後の生活費の不足分を補ったり、長生きした場合の経済的リスクに備えるための保険
  • 共済=民間の保険と違い営利目的でないため、掛け金(保険料)が安く、割戻金(配当金)があるなどメリット

その他、損害保険など生活の中で必要な保険も多くあります。

※最近は、先進医療を求めて保険に加入する方が増加しています。

ポイント

≪先進医療≫

高度の医療技術を用いた治療法や医療技術のうち、公的医療保険の対象にはまだなっていないものの、有効性や安全性について一定の基準を満たしたものをいいます。

厚生労働大臣によって定められ、平成29年10月現在、がんの治療法や遺伝子診断、水晶体の再建術などを含む104種類が「先進医療」とされています。

 

第3章 遺言・相続

遺言

自分の死後のために、財産の処置などを言い残すことです。

≪遺言の種類≫

自筆証書遺言:遺言者自身が遺言書を作成する形式

公正証書遺言:公証人に遺言書の執筆の保管を依頼する形式

秘密証書遺言:公証人に遺言書の存在証明だけを依頼する形式

「遺言能力」

遺言は代理で行うことができません。

15歳に達した者は、遺言をすることができ、保護者の同意は不要です。

しかし、15歳以上であっても、高齢者のように、医師に認知症(の疑いがある)と診断されている場合や、その他精神疾患により、意思能力がないとされた場合は、遺言能力はなしとされます。

一般的な遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、状況や目的に合わせて自分に合った方式を選択することができます。

遺言書は正しい形式で作成できないと遺族間で後々トラブルの種になるため、遺言書を書く前には事前にしっかりと正しい知識を身に着け、内容に不備がないように慎重に執筆しなければいけません。

ポイント

≪遺言書の書き方≫

・自筆証書遺言はできるだけ長期保存に耐えうる用紙を利用する

・自筆証書遺言では、全文・日付・氏名を全て自分で書く

・自筆証書遺言では、日付は年月日を記載する

・加除訂正をする場合は、「第○行3字訂正」などとその場所を示し、変更の旨を付記し、そこに署名した上で、その変更の場所に印を押す

・相続財産についてはできるだけ具体的に記載する(不動産であれば権利書や登記簿謄本を参考に、預金ならば金融機関名・支店名・口座番号なども記載)

・遺言執行者を決めて遺言書に明記する

・費用(葬儀費用・債務・遺言執行にかかる費用など)の負担者とその割合を明記する

・不動産賃貸業を経営している場合は、できるだけ事業承継者と敷金を預けている口座の承継者が同一人となるようにする

・1つの財産を複数の相続人で共有するような内容の遺言はできるだけ避ける

・遺留分を侵害する内容で敢えて遺言をする場合は、遺留分減殺請求される可能性を考慮し、できればその対応策についても言及しておく

・遺言書作成後に財産の概況が大きく変わったり相続人が増減したりした場合は、必要に応じて遺言書の書き換えを行います。

 

公正証書

公証人が作成した、法律行為や権利についての証書です。

公証役場(こうしょうやくば。公証人役場ともいう)とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場で、各法務局が所管し、公証人が執務する。公証人独立採算制がとられている点が一般の官公庁と異なる特徴です。

「終活にまつわる公正証書」

  • 遺言公正証書:遺言書を開封する場合に裁判所の検認が不要
  • 任意後見契約公正証書:自分に代わって自分の財産を管理したり,必要な契約締結等をする
  • 尊厳死公正証書:人間としての尊厳を保ったまま死を迎えることを望むことを自ら宣言する
  • 委任契約公正証書:相手方に委託して、相手方がこれを承諾することを内容とする契約書のこと
  • 贈与契約公正証書:自分の財産を無償で相手方に与える意思を表示して、相手方がそれを承諾すること
  • 死因贈与公正証書:贈与する者の死亡という事実によって効力が発生する、生前の贈与契約のこと
  • 遺産分割協議公正証書:どの程度の割合で相続するのかを相続人全員で協議した内容を記載したもの
  • 死後事務委任契約公正証書:亡くなった後の諸手続き、葬儀、納骨、埋葬などの事務についての委任契約

 

成年後見制度

精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。

認知症や精神疾患によって判断能力が失われてしまうと、自分で財産を管理 したり、契約をしたりすることが困難になります。

このような場合に自分の代わりに財産管理をしてくれるのが後見人です。

後見人には、家庭裁判所の審判で選任される「法定後見人」と、あらかじめ自分で契約しておく「任意後見人」があります。

既に判断能力を失っている場合は法定後見人。

判断能力があるうちなら判断能力を失ったときのために任意後見契約をしておくことができます。

申立人の意見を聞いて家庭裁判所が選任するので自分で後見人になる人を決めることはできませんが、任意後見人は自分の信頼できる人を後見人にすることができます。

見守り契約支援する人が本人と定期的に面談や連絡をとり、備えとしての成年後見制度(任意後見)をスタートさせる時期を相談したり、判断してもらう契約です。

見守り契約をすることによって、定期的に本人と支援する人の意思疎通が可能になるため、備えとしての成年後見制度(任意後見)の契約をしてから数十年間本人と会わないといったようなことを防ぐことができ、信頼関係を継続させることができます。

「任意後見制度とは」 

任意後見制度は本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する人を自ら事前の契約によって決めておく制度です。(公正証書を作成します)

「法定後見人とは」

判断能力が不十分な場合に本人を法律的に保護し支えるための制度です。

「後見監督人とは」

後見人の事務を監督する人です。

家庭裁判所が、必要があると認めるときは、後見人等の請求により又は職権で選任されます。

実務上、家庭裁判所が職権で後見監督人を選任することが多いといわれています。

 

相続

相続は死亡によって開始します。

死亡には失踪宣告や認定死亡も含まれ、相続は被相続人の住所において開始されます。

相続人は相続開始の時(被相続人の死亡の時)から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。

被相続人の財産上の地位を承継する者のことを相続人(そうぞくにん)といい、これに対して相続される財産、権利、法律関係の旧主体を被相続人(ひそうぞくにん)という。

被相続人の血族は次の順位で相続人となります。

◎被相続人の配偶者は常に相続人

①被相続人の子

②被相続人の直系尊属

③被相続人の兄弟姉妹

「指定相続分」

被相続人は遺言で共同相続人の相続分を定め、又は相続分を定めることを第三者に委託することをいいます。

「法定相続分」

遺言による相続分の指定がない場合は法定相続分となります。

ココに注意

相続人の範囲において相続人が数人あるときは、その法定相続分は、次の各号の定めるところに(900条)。

子及び配偶者が相続人であるとき、子の相続分及び配偶者の相続分はそれぞれ2分の1である(900条1号)。

子が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいもの(均等分)とする(900条4号)。

配偶者及び直系尊属が相続人であるとき、配偶者の相続分が3分の2、直系尊属の相続分が3分の1である(900条2号)。

直系尊属が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいもの(均等分)とする(900条4号)。

また、直系尊属の場合、生存するのみの相続となる。

配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるとき、配偶者の相続分が4分の3、兄弟姉妹の相続分が4分の1(900条3号)。

兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいもの(均等分)とするが、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となる(900条4号)。

被相続人に配偶者がいない場合にも、子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとするが、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となる(900条4号)。

代襲相続人の相続分はその直系尊属が受けるべきであったものと同じであり、代襲相続人となる直系卑属が数人あるときはその各自の直系尊属が受けるべきであった部分について900条の規定に従ってその相続分を定める(901条)。

なお、非嫡出子の相続分は900条4号により嫡出子の相続分の2分の1と規定されていたが、最高裁判所が2013年9月4日に婚外子(非嫡出子)の相続分が違憲であるとの判断を下したことを受け、2013年12月11日の民法の一部改正により900条4号は削除された。

附則において、改正後の規定については2013年9月5日以後に開始した相続について適用するものと定められている。

 

相続税

相続税(相続にかかる税金)とは、被相続人(亡くなった方)の遺産(相続財産)を相続で受け継いだ場合や、遺言によって遺産を受け継いだ場合に、その遺産総額となる金額が大きいとかかる税金で、相続税は遺産が金額を超える場合に応じた相続税率が適用されます。

計算上の金額を超えないようであれば、相続税の申告自体が必要なく、納税も必要ありません。

≪基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

※被相続人に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人(実子がいないときは2人)迄となります。

「相続税の総額」の計算においても同じです。

≪非課税財産≫

墓所、仏壇、祭具など、国や地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産、生命保険金のうち次の額まで(500万円×法定相続人の数)、死亡退職金のうち次の額まで(500万円×法定相続人の数)

ポイント

≪相続税申告の必要書類≫

〇相続関係を明らかにするもの

〇相続人や受遺者のマイナンバー確認ができるもの

〇相続人や受遺者の運転免許証の写し、身体障害者手帳の写し、パスポートの写し、在留カードの写し、公的医療保険者証の写しのいずれか

〇被相続人のすべての相続人が明らかになる戸籍謄本(相続開始の日から10日を経過した後に作成されたもの)の原本または写し※平成30年4月1日以降は、「法定相続情報一覧図」の原本または写しを添付することで、戸籍の提出を省略できるようになりました

〇遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し

〇被相続人の住民票除票または戸籍の附票

〇相続人や受遺者の住民票または戸籍の附票

〇相続人や受遺者の印鑑証明書原本など

≪遺産内容を証明するもの ※遺産状況に応じて提出≫

〇不動産の状況がわかるもの

〇預貯金の状況がわかるもの

〇有価証券の取引状況がわかるもの

〇所有している権利の詳細がわかるもの

〇生命保険金の支払い状況や契約内容がわかるもの

〇退職金の支払い状況がわかるもの

〇負債の状況がわかるもの

〇葬儀費用の内訳がわかるもの

〇生前3年以内の贈与内容がわかるもの

〇準確定申告書控えの写し

※その他、各種特例を受けるような場合、延納や物納申請を行なう場合等、別途状況に応じ追加書類の提出が必要となります。

≪申告および納税期限≫

相続税の相続が発生したことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10ヶ月以内と決められています。

申告だけでなく、納税についても同じ期限ですので、注意が必要です。

なお、相続が発生した翌日から10ヶ月、という期限は、一見長く感じますが、不動産や預貯金、有価証券等の調査をしているだけでも、あっという間に時間が過ぎてしまいます。

その上で、遺言がなかったりすると、相続人全員で遺産分割協議も必要となりますが、もし相続税申告期限内に相続人間で遺産分割内容が決まらない場合でも、期限までに相続税申告自体は必要です。

初級検定テストを受ける

終活ガイド初級検定のテストは下の赤いボタンをクリックしてください。

次のページへ >

Copyright© 終活ガイド , 2019 All Rights Reserved.